一、
雨の渋谷で 逢った夜
恋の苦労が 始った
赤坂見附で 乗り換えて
きょうもいそいそ 逢いにゆく
二、
宵の新宿 街灯り
だれを待つのか あの人も
地下鉄のりばの 入口に
若い二人の 夜が来る
三、
今夜云おうか この気持
明日は告げよか この思い
今更ら未練は お茶の水
恋はその日の 風まかせ
四、
ラッシュアワーの 網棚に
だれが忘れた 赤い薔薇
あの子の唇 想わせて
逢わぬ先きから やるせない
五、
かわいあの子の ためならば
何で惜しかろ この生命
パンタグラフの 火のように
燃えて散っても 悔いはない
六、
広い東京を 狭く住む
それが若さと いうものさ
上野のお山に 出た月も
かわいあの子に 見えてくる