一、
まだ 朝日もはずかしそうな
もやの街は 私の心
忘れられた車が 並んでる
窓をとじた ビルも
早起きの 並木に
起こされて「おはよう」と 呼びかける
思い出だらけの 角のポストに
今日でさよならの 手紙を入れた
住みたいのは こんなところと
思っていた かわいいお家
その前まで来たとき 泣いていた
二、
走る汽車は いじわるなもの
こんなときは とても速いの
走り去る赤い屋根 青い屋根
街並も 消えて
からっぽの 窓だけ
にぎりしめた切符は あてもない
悲しい心は 折れたマッチと
慣れない手つきで 落とした煙草
今 誰かがすわった となり
そこに もしも あなたがいたら
あふれてくる涙を ふいてほしい